AWS Database Migration Service の特徴

概要

AWS Database Migration Service (AWS DMS) は、ダウンタイムを最小限に抑えてデータ損失を伴うことなく、データベースデータウェアハウスをすばやく安全に AWS に移行するのに役立ちます。AWS DMS では、1 つの集中型サービスの下でデータベースとデータウェアハウスを大規模に計画、評価、変換、移行できるため、時間、リソース、コストが節約されます。ターゲットデータベースへの移行中でもソースデータベースは完全に利用可能な状態に保たれ、ソースデータベースを利用するアプリケーションのダウンタイムは最小限に抑えられます。AWS DMS は、数十から数百のワークロードの同時移行を含む、最も複雑な移行にも対応できます。

AWS DMS は、広く普及しているほとんどの商用データベースとオープンソースデータベース、およびデータウェアハウス間のデータ移行に利用できます。ソースデータベースは、AWS 以外のオンプレミス、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスで実行されるセルフマネージド型のデータベース、完全マネージド型の Amazon データベース、またはサードパーティーのデータベースサービスに配置できます。ターゲットデータベースは、Amazon EC2 インスタンスで実行されるセルフマネージド型のデータベースでも、フルマネージド型の Amazon データベースでもかまいません。AWS DMS ユーザーガイドに記載されている、サポート対象のソースエンジンとターゲットエンジンのリストを参照してください。

移行に加えて、AWS DMS は、データベースの地理的分散や開発、テスト環境の同期など、多くのユースケースの継続的レプリケーションをサポートしています。継続的レプリケーションタスクでは、ソースデータベースからターゲットデータベースに最小限のレイテンシーで変更を適用します。単一のデータベースから 1 つ、または複数のターゲットデータベースにデータをレプリケートすることも、複数のデータベースのデータを統合して 1 つのターゲットデータベースにレプリケートすることも可能です。データ検証や変換などのすべての AWS DMS 機能は、1 つのレプリケーションタスクで使用できます。

データベースのイラスト

使用が簡単

AWS DMS は簡単に使えます。ほとんどのケースにおいてドライバーやアプリケーションをインストールする必要はなく、ソースデータベースに変更を求められることはありません。AWS マネジメントコンソールでの数ステップのみで、データベースの移行を始められます。

AWS DMS Fleet Advisor は無料のフルマネージド型機能で、オンプレミスの運用データベースとデータウェアハウスのフリートをインベントリして評価し、潜在的な移行パスを特定することで、移行計画を自動化します。WS DMS Fleet Advisor は、セルフマネージド型データベースから収集された過去のパフォーマンスと使用パターンを使用して、ターゲットとなるデータベースエンジンとインスタンスオプションを推奨し、コストを見積ることができます。

AWS DMS Fleet Advisor では、従来、数週間から数か月を要していた結果を数時間で得ることができます。サードパーティー製ツールを使用する必要や、移行エキスパートを雇用する必要はありません。AWS DMS コンソールで数ステップ実施することで AWS DMS Fleet Advisor を使用して移行計画を開始できます。

 

 

幅広い選択肢

AWS DMS では、同様のデータベースを移行することでデータベースの同種間移行を実行したり、異なるデータベース間で移行することでデータベースの異種間移行を最新化したりできます。AWS DMS は、ソースとターゲットのエンドポイントとして 20 を超えるデータベースとデータウェアハウスをサポートしています。

同種移行の場合、スキーマ構造、データ型、およびデータベースコードは、ソースデータベースとターゲットデータベース間で既に互換性があります。同種移行の例としては、Oracle から Amazon RDS for OracleMySQL から Amazon Aurora MySQLMySQL から Amazon RDS for MySQL、および Microsoft SQL Server から Amazon RDS for SQL Server などが挙げられます。 ソースデータベースからターゲットデータベースを接続して移行するタスクを作成し、ワンステップで移行を開始します。残りの処理は AWS DMS が自動的に行います。

AWS DMS には、同種移行のための選択肢がいくつかあります。1 つ目の選択肢は、組み込みのネイティブデータベースツールを使用して、レプリケーションインスタンスを管理しなくてもターゲットデータベースに自動的に移行する方法です。MySQL と PostgreSQL を移行する際に、すべてのデータ型とセカンダリオブジェクトをターゲットエンジンとして Aurora と Amazon RDS に移行する場合に最適です。その他のすべてのエンジンで、AWS DMS サーバーレスまたは AWS DMS レプリケーションインスタンスを使用する方法など、別の選択肢を使用できます。

異種間移行の場合、Oracle から AuroraOracle から PostgreSQL、および Microsoft SQL Server から MySQL といった移行のように、ソースとターゲットのデータベースエンジンが異なります。異種間移行は 2 つのステップで行われます。 ソースデータベースとターゲットデータベースのスキーマ構造、データ型、およびデータベースコードがまったく異なる可能性があるため、最初のステップでは、ソースのスキーマとコードをターゲットデータベースのものと一致するように変換します。2 つ目のステップでは、AWS DMS を利用してソースデータベースからターゲットデータベースにデータを移行します。AWS DMS レプリケーションインスタンスか、移行リソースのプロビジョニング、モニタリング、スケーリングという時間のかかるタスクを自動化する AWS DMS サーバーレスのいずれかを選択できます。必要なデータ型はすべて、移行時に自動的に変換されます。 

AWS DMS では、スキーマの変換について、数週間から数か月分の労力を削減できる 2 つのスキーマ変換ソリューションを提供しています。AWS DMS コンソールにサインインして AWS DMS Schema Conversion (AWS DMS SC) ワークフローを開始し、フルマネージド型の体験を実行するか、AWS Schema Conversion Tool (AWS SCT) ソフトウェアをダウンロードしてローカルシステムで同様の評価と変換を実行するかを選択できます。

どちらのオプションも、ソースデータベースのスキーマと、ビュー、ストアドプロシージャ、関数などのデータベースコードオブジェクトの大部分を自動的に評価し、ターゲットデータベースと互換性のある形式に変換します。また、スキーマ変換の複雑さに関する評価レポートを数ステップで生成できます。このレポートには、ソースデータベースエンジンとターゲットデータベースエンジンの非互換性を解決する方法についての規範ガイダンスが記載されています。自動的に変換できないオブジェクトは、アクションアイテムとして変換方法を明確に表示し、手動で変換して移行を完了できるようにしています。スキーマの変換が完了すると、AWS DMS はソースからターゲットにデータを移行できます。

AWS DMS SC は、生成 AI を従来のルールベースのアプローチと組み合わせて使用することで、手動変換を必要とするデータベースオブジェクトの数をさらに削減します。生成 AI によるレコメンデーションを使用すると、特にストアドプロシージャ、関数、トリガーなどの複雑なコードオブジェクトを変換する場合に、データベース移行プロジェクトを簡素化および加速できます。生成 AI を使用した AWS DMS Schema Conversion では、レビュー可能なコードのレコメンデーションを提供し、複雑な変換にかかる時間と労力を削減し、より迅速で信頼性の高いデータベース移行を可能にすることで、移行を加速します。この機能は、Microsoft SQL Server などの商用エンジンから Amazon Aurora PostgreSQL 互換エディションおよび Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) for PostgreSQL へのスキーマ変換に使用できます。AWS DMS SC の詳細については、当社のドキュメント入門ガイドをご覧ください。AWS DMS SC がサポートするデータベース変換AWS SCT 変換に関するドキュメントをご確認ください。

アプリケーションに埋め込まれた SQL ステートメントを変換する場合、Amazon Q Developer は Java アプリケーションのソースコードをスキャンし、そのコードを Oracle から Amazon Aurora PostgreSQL または Amazon RDS for PostgreSQL に変換できます。

最小限のダウンタイム

AWS DMS によって、お客様のデータベースの AWS への移行を事実上ダウンタイムなしで行えます。データ移行中にソースデータベースで行われるすべての変更はターゲットに継続的にレプリケートされるため、移行プロセスの間もソースデータベースは完全に利用可能な状態に保たれます。データベース移行の完了後は、任意の期間にわたってターゲットデータベースとソースデータベースを同期させておくことが可能なため、お客様が都合のよい時にターゲットデータベースに切り替えることができます。

優れた費用対効果

AWS DMS オンデマンドインスタンスは、長期間の契約なしに、データベース移行容量に対して時間単位で料金をお支払いいただくというものです。これにより、ハードウェアのプランニング、購入、維持に伴うコストや手間が省け、プロセス全体が迅速で低コストなものになります。そのため、テラバイトサイズのデータベースをコスト効率よく移行できます。

AWS DMS サーバーレスを使用すると、レプリケーションインスタンスをプロビジョニングしたり、使用状況を手動でモニタリングして容量を調整したりしなくても、データを移行するのがさらに簡単で費用対効果が高くなります。移行リソースは、需要を満たすために必要な最適な容量に自動的にプロビジョニング、モニタリング、スケールされるため、容量の見積もり、プロビジョニング、コスト最適化、レプリケーションエンジンのバージョン管理やパッチ適用などのインスタンス管理タスクが不要になります。ピーク需要に備えてリソースを過剰にプロビジョニングする必要はもうありません。使用したデータ移行容量に対してのみお支払いいただきます。AWS DMS サーバーレスは、継続的なデータレプリケーション、データベース統合、異種移行と同種移行など、いくつかのユースケースをサポートしています。詳細については、AWS DMS サーバーレスに関するドキュメントをご覧ください。

AWS DMS を使用してデータベースを統合することでコストをさらに最適化できます。これにより、データベースインスタンスの数が減り、インフラストラクチャのコストが削減されます。複数のデータベースを単一の最適化されたシステムに統合することで、冗長ストレージの削除、ライセンス料の削減、運用コストの削減を実施できます。データベースの統合は、同種移行と異種移行の両方で実行できます。

信頼性

AWS DMS は耐障害性が高く、自己修復機能を備えています。継続的にソースおよびターゲットデータベース、ネットワークの接続性、レプリケーションインスタンスをモニタリングします。移行が中断された場合には、プロセスが自動的に再起動され、停止した場所から移行が続行されます。AWS DMS マルチ AZ オプションは、冗長レプリケーションインスタンスによるデータベース移行と継続的なデータレプリケーションに高可用性を提供します。

開発者の生産性

AWS DMS を使用すると、開発を目的としたクラウド内外へのデータ移行を実施できます。これには、2 つの一般的なシナリオがあります。1 つ目は、開発、テスト、ステージング用のシステムを AWS にデプロイし、クラウドのスケーラビリティと迅速なプロビジョニングを活用することです。これにより、デベロッパーとテスターは、実際の本番データのコピーを使用し、更新した内容をオンプレミスの本番システムにコピーして戻すことができます。

2 つ目のシナリオは、開発システムがオンプレミス (または個人のノート PC) にあり、このようなオンプレミスシステムに AWS のプロダクションデータベースの現在のコピーを 1 回または継続的に移行する場合です。本番システムの最新状態を確実に反映できると同時に、既存の DevOps プロセスの中断を避けることができます。

よくある質問

AWS DMS は、継続的なデータレプリケーションやデータベース統合に加えて、AWS へのデータベースとデータウェアハウスの移行、および AWS からの移行に使用されます。AWS DMS では、フルマネージド型の AWS データベースに移行できます。セルフマネージド型のオープンソースデータベースと商用データベースをフルマネージド型の AWS データベースサービスに移行することで、運用上のオーバーヘッドを削減しながら、俊敏性の確保、市場投入までの時間の短縮、可用性の向上を実現できます。

あるいは、AWS 目的別データベースへの異種移行によってデータベースを最新化することもできます。AWS では、適切なデータベースを選択し、あらゆる規模で価格パフォーマンスを最適化できます。

AWS DMS では、AWS 無料利用枠の一部として、Single-AZ dms.t2.micro インスタンスを月あたり最大 750 時間利用できます。機能によって、使用量に応じたコストがかかります。AWS DMS Fleet Advisor と AWS DMS SC については、使用したストレージの分のみお支払いいただきます。AWS DMS 移行オプションでは、レプリケーションインスタンスを使用するかサーバーレスオプションを使用するかにかかわらず、使用した容量に対して時間単位でお支払いいただきます。詳細については、AWS DMS の料金をご覧ください。